羽生生成七冠記念講演
京都府支部連合会会長
廣田 長己
京都は平安京が造営された昔から文化の中心地であり続けました。文化庁の京都移転の機運が高まっている今、今年2月に国民栄誉賞を受賞された羽生善治永世七冠を京都にお招きすることは、日本古来の伝統文化である将棋の普及に大きな役割を果たすのではないか。そう考え企画を始めました。対談の企画も快諾いただいた京都市長のご助力、京都商工会議所とのコラボレーション・学問の神様北野天満宮の全面協力などをいただくスケールの大きなものとなりました。様々な困難もありましたが京都府支部連合会が一丸となって成し遂げることができました。
5月12日(土)羽生先生の講演会「決断力を磨く」は、宝ヶ池グランドプリンスホテルで参加者1100名を集めて行われました。提案型の講演法で、こんな手がありますよ別の手もありますよと結論をいわずに進めて行く手法です。原稿なしでとお話になりました。「長考の手がいいとはかぎらない。ひらめきの手が本筋かもしれない。いい手をひらめくためには精進とある程度の訓練と土壌がいる」とのお話には、経営者の方々から人生や経営にもつながるとの感心の声が上がっていました。
また午後には学問の神様・北野天満宮に場所を移して子ども向けの講演会「将棋から学んだこと・挑戦する勇気」でした。将棋が強くなる秘訣や短期から長期の成功体験を積み重ねることが困難に直面しても諦めない強さになることなどを伝えていただきました。
京都市長との対談では濱崎加奈子さんを交えて非公開で行われ後日京都新聞紙上にての公開となります。
羽生先生と北野天満宮の橘宮司様との会話から新たな展開がありました。
水無瀬兼成書体の将棋駒である水無瀬流ゆかりのお寺に、京都の曼殊院があります。その要職を室町時代から北野天満宮の別当が兼ねており、橘宮司様が曼殊院に残る将棋関連の文献を本格的に探すことを約束されました。歴史ロマンあふれる新発見につながることがありそうでワクワクしています。発見があればここにてご報告させていただきます。
たった一日でしたが、将棋の発展の大きな一歩、そして地域の人々や未来を担う子ども達への大きなプレゼントなったことが私にとっては何よりの喜びです。
最後に、ご多忙の中時間を作っておいでいただいた羽生善治永世七冠、そして後押ししていただいた日本将棋連盟。そして京都でご協力いただいた諸団体の協力があればこその大成功でした。心より御礼申し上げます。